『聲の形』聖地巡礼スポット12選|岐阜・大垣などの舞台を徹底解説

『聲の形』は、耳の聞こえない少女・西宮硝子と少年・石田将也の再会を描いた感動作。京都アニメーションによる繊細な映像とともに、岐阜県大垣市を中心とした実在の風景が作品の魅力を引き立てています。川や橋、公園、駅前の街並みなど日常の景色がそのまま名場面として登場し、映画公開以来“聖地巡礼”がファンの間で注目を集めてきました。

本記事では、大垣駅周辺から養老エリアまで、『聲の形』の舞台12か所を厳選紹介。アクセスや登場シーンを交え、効率よく巡れるおすすめルートもご案内します。アニメで見た景色を歩けば、キャラクターたちと同じ時間を過ごしているかのような体験に。作品世界と現実が重なる特別な旅へ出かけてみませんか。

『聲の形』とは?あらすじと見どころ

『聲の形』は、大今良時による漫画を原作に、2016年に京都アニメーションが映画化された青春ドラマです。主人公は、小学生の頃に耳の聞こえない転校生・西宮硝子をいじめていた石田将也。高校生になった彼は過去の行いに苦しみ、孤立する日々を送っていました。そんな中で硝子と再会し、少しずつ向き合っていく姿が描かれます。

物語の見どころは、いじめや孤独といった重いテーマを扱いながらも、人とのつながりや赦しを真摯に描いている点です。将也と硝子を取り巻く友人たちの関係性や、それぞれが抱える葛藤が丁寧に描写され、観る人に強い共感と余韻を残します。

公開当時は国内外で高い評価を受け、興行収入は23億円を突破。第40回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞をはじめ、多くの映画賞にも選出されました。美しい映像表現と繊細な心理描写が融合した本作は、青春映画の枠を超えて幅広い世代に感動を与える作品として今なお支持されています。

【『聲の形 』の聖地 岐阜県大垣市編】大垣駅から歩いて行ける名場面の舞台

大垣公園

大垣城の西にある「大垣公園」は、『聲の形』で将也が姪のマリアを遊ばせた際、遊具の中で結絃を見つけるシーンの舞台となった場所です。硝子が友人たちと再会する場面でも描かれており、作中の印象深いスポットのひとつです。園内には芝生や遊具が整備され、実際にも地元の人々に親しまれています。劇中で結絃が隠れていた遊具は現地でも確認でき、ファンの撮影スポットとして人気です。春には約180本の桜が咲き、大垣城とともに花見の名所としても楽しめます。

画像出典:写真AC

住所:岐阜県大垣市郭町2丁目53番地
アクセス:JR東海道本線「大垣駅」南口から徒歩約10分
営業時間:終日(無料開放)

新大橋

水門川に架かる「新大橋」は、『聲の形』を象徴する名場面のひとつが描かれた場所です。作中では、硝子が将也に勇気を出して想いを伝える場面のモデルとなっており、彼女が手渡したプレゼントや「好き」という言葉がすれ違ってしまう切ないシーンが印象に残ります。橋は大垣駅通りの中央付近に位置し、駅からもアクセスしやすい立地。映画を見返した方なら、橋の上に立っただけでシーンの余韻を思い出すことができるでしょう。

住所:岐阜県大垣市栗屋町
アクセス:JR東海道本線「大垣駅」から徒歩約5分
営業時間:終日(交通量に注意)

JR大垣駅

JR大垣駅は、市内の主要な交通拠点であり、多くの通勤・通学客に利用される大垣の玄関口です。『聲の形』では、将也と硝子が同級生・佐原に会うため待ち合わせをした場面に登場しました。改札前や駅前広場の描写は現地そのままで、作品を思い出させるスポットです。駅は明治時代に開業し、現在の駅ビルは昭和61年に完成しました。駅前にはバスやタクシーの乗り場も整備されており、聖地巡礼の出発点としても便利です。

画像出典:Wikimedia Commons(撮影:MaedaAkihiko)/ライセンス:CC BY-SA 4.0

住所:岐阜県大垣市高屋町1丁目145番
アクセス:JR東海道本線「大垣駅」
営業時間:4:50〜22:20(切符売場)

四季の広場

大垣駅から徒歩圏内にある「四季の広場」は、水門川沿いに広がる市民の憩いの場です。芝生やベンチが整備され、散策や休憩に訪れる人々でにぎわいます。春には「芭蕉祭」の舟下りなど季節ごとのイベントも催され、水辺の景観とともに賑わうスポットです。『聲の形』では、将也や硝子、友人たちが集い、心情をぶつけ合う場面に繰り返し登場。物語全体を象徴する舞台として、キャラクターの関係や変化を印象づける重要な場所となっています。

画像出典:写真AC

住所:岐阜県大垣市馬場町159
アクセス:JR東海道本線「大垣駅」南口から徒歩約20分
営業時間:終日(無料開放)

美登鯉橋

四季の広場の中を流れる水門川に架かる「美登鯉橋」は、『聲の形』を象徴する代表的な舞台です。将也と硝子が並んで鯉にエサをあげる場面など、二人の関係を印象づけるシーンで何度も登場します。二人が橋の上に立つ姿は、ポスターやキービジュアルにも使われ、作品を象徴する情景となりました。色鮮やかな鯉が泳ぐ川と周囲の落ち着いた雰囲気は、実際に訪れても作中とほぼ同じで、聖地巡礼のハイライトとして外せないスポットです。

住所:岐阜県大垣市西外側町2丁目46
アクセス:JR東海道本線「大垣駅」南口から徒歩約20分
営業時間:終日(交通量に注意)

滝のトンネル

四季の広場の一角にある「滝のトンネル」は、水が壁のように流れ落ちる幻想的な通路で、歩くだけで涼やかな音と水しぶきに包まれるスポットです。『聲の形』では、硝子がハトにエサをやる場面や、祖母を亡くした結絃が泣いていたシーンに登場します。静かな雰囲気の中でキャラクターの心情を映し出す象徴的な舞台となっています。実際に訪れると、水と光が織りなす景観を楽しめ、聖地巡礼の写真スポットとしても人気です。

画像出典:写真AC

住所:岐阜県大垣市馬場町159
アクセス:JR東海道本線「大垣駅」南口から徒歩約20分
営業時間:終日(無料開放)

大垣駅通り

JR大垣駅近くに伸びる「大垣駅通り」は、地元の商店が並ぶ活気あるストリートです。『聲の形』では、将也と硝子が小学校時代の同級生・植野と再会する場面で描かれ、辛辣なやり取りが印象的なシーンとなりました。アニメでは「SKB street」と表記されていますが、実際は大垣共立銀行の略「OKB street」という看板が掲げられています。地元と銀行が連携して盛り上げている商店街で、現実と作品の違いを見比べながら歩くのも楽しみのひとつです。

画像出典:写真AC

住所:岐阜県大垣市高屋町1丁目~郭町2丁目
アクセス:JR東海道本線「大垣駅」南口から徒歩すぐ
営業時間:終日(交通量に注意)

総合福祉会館

大垣市の「総合福祉会館」は、市民の福祉活動や交流の拠点として利用される公共施設で、四季の広場のすぐそばにあります。『聲の形』では、高校生になった将也と硝子が再会する手話教室の会場として登場しました。将也が硝子を訪ねる場面で繰り返し描かれるほか、二人の姿を永束や硝子の妹・結絃が見ていたベランダも実在し、印象深いスポットです。外観や入口もアニメで丁寧に再現されており、訪れると作品世界との重なりを強く感じられます。

画像出典:Wikimedia Commons(撮影:運動会プロテインパワー)/ライセンス:CC BY-SA 4.0

住所:岐阜県大垣市馬場町124番
アクセス:JR東海道本線「大垣駅」南口から徒歩約20分
営業時間:9:00〜21:00(年末年始休館)

【『聲の形』の聖地 美濃加茂・養老・岐阜編】少し足を延ばして訪れたい郊外スポット

青柳橋

岐阜県大垣市を流れる杭瀬川に架かる「青柳橋」は、地元では“もぐり橋”の名で親しまれる沈下橋です。『聲の形』の冒頭で、小学生の将也たちが度胸試しに川へ飛び込むシーンの舞台となった場所として知られています。橋は住宅地に囲まれた落ち着いた環境にあり、最寄りのJR美濃太田駅からも徒歩圏内。増水時には川に沈む構造が特徴で、独特の雰囲気を味わえます。物語の始まりを象徴するスポットとして、聖地巡礼でも外せない場所です。

住所:岐阜県大垣市青柳町
アクセス:養老鉄道養老線「美濃青柳駅」から徒歩約10分
営業時間:終日(交通量に注意)

養老駅

養老鉄道の「養老駅」は1913年開業の歴史ある駅で、養老公園や養老の滝への玄関口として利用されています。瓦屋根の木造駅舎が趣ある佇まいを見せ、ホームには名物の瓢箪が吊り下げられています。これは「滝の水が酒に変わり老父の病を治した」という養老伝説に由来します。『聲の形』では、将也が硝子を遊びに誘った際に登場し、吊るされたひょうたんや赤い養老鉄道の車両が印象的に描かれました。静かな駅の風景が、作品の空気感を思い起こさせます。

画像出典:Wikimedia Commons(撮影:Bakkai at Japanese Wikipedia)/ライセンス:CC BY-SA 3.0

住所:岐阜県養老郡養老町鷲巣白石道1200
アクセス:養老鉄道養老線「養老駅」
営業時間:終日

養老の滝

岐阜県を代表する名瀑「養老の滝」は、高さ約32m・幅4mを誇り、『日本の滝百選』にも選ばれた景勝地です。豊かな自然に囲まれた養老公園の奥にあり、夏でも涼しさを感じられる人気の観光スポットとなっています。『聲の形』では、将也が硝子を遊びに誘った際に訪れた場所として登場しました。公園入口から徒歩30分ほどでアクセスできますが、滝近くまで車で行くことも可能です。観光と聖地巡礼の両方で楽しめる名所です。

画像出典:Wikimedia Commons(撮影:Kikuhiko Mizusaki)/ライセンス:CC BY-SA 3.0

住所:岐阜県養老郡養老町高林1298-2
アクセス:養老鉄道養老線「養老駅」から徒歩約10分
営業時間:9:00〜17:00(火曜休、年末年始休業)

金町8丁目交差点

岐阜市内にある「金町8丁目交差点」は、植野がアルバイト先のビラ配りをしていた際に、将也と再会する場面の舞台となった場所です。物語の中では、疎遠になっていた旧友と再びつながるきっかけの場面として描かれており、作品にとっても重要な転機を象徴しています。周辺の街並みは映画でも忠実に再現されており、実際に訪れると作品の空気感を感じられます。大垣市内の聖地からは少し足を延ばす必要がありますが、その分“特別な一幕”を追体験できる巡礼先です。

住所:岐阜県岐阜市金町8丁目
アクセス:名鉄名古屋本線「名鉄岐阜駅」から徒歩約6分
営業時間:終日(交通量に注意)

『聲の形』おすすめ聖地巡礼ルート

『聲の形』の聖地巡礼は、JR大垣駅からスタートします。将也と硝子が待ち合わせをした改札前は、物語の出発点を象徴する場所。駅を出てすぐの「大垣駅通り」を歩けば、植野と再会したシーンがよみがえり、商店街の活気の中にキャラクターたちの気配を感じられるでしょう。

そのまま「新大橋」へ。水門川に架かるこの橋は、硝子が将也に想いを伝えようとした場面の舞台です。さらに足を延ばせば「大垣公園」や「総合福祉会館」があり、マリアや結絃のエピソード、手話教室での再会など、物語の核心が描かれた場所を辿ることができます。

午前のハイライトは「四季の広場」。芝生や水辺が広がる市民の憩いの場で、『聲の形』全体を象徴する舞台です。広場を流れる水門川に架かる「美登鯉橋」では、将也と硝子が鯉に餌をあげる姿が印象的に描かれ、ポスターにも登場しました。近くの「滝のトンネル」は、硝子や結絃の心情が映し出された幻想的な場所で、歩くだけで水音に包まれる人気のフォトスポットでもあります。

午後は養老エリアへ。大垣駅から養老鉄道で約25分の「養老駅」は、瓦屋根の木造駅舎が趣を漂わせ、ホームに吊るされたひょうたんは養老伝説を伝える名物。『聲の形』では将也が硝子を誘った場面で登場し、赤い車両とともに印象的に描かれました。

そして旅のクライマックスは「養老の滝」。高さ32mの名瀑で、日本の滝百選にも選ばれる名所です。将也と硝子が訪れたシーンを思い浮かべながら、自然に囲まれた涼やかな空間を歩けば、作品の余韻をそのまま体感できるでしょう。

大垣市街と養老を巡るこのルートなら、映画の象徴的な場面を一日で効率よく回ることができます。観光と作品の世界を重ね合わせながら歩くことで、『聲の形』の物語をより深く味わえるはずです。

『聲の形』将也たちが通っている高校の舞台は?

画像出典:Wikimedia Commons(撮影:投稿者)/ライセンス:CC BY-SA 3.0

『聲の形』で将也や永束たちが通う「東地高校」。将也が小学生時代の過去を乗り越え、永束たちと新しい関係を築いていく舞台として描かれました。学園祭や教室でのやり取りなど、高校生らしい日常とドラマが物語を大きく動かすシーンが数多く登場しました。

そんな「東地高校」のモデルについては諸説ありますが、東京都文京区にある私立・駒込高等学校が有力とされ、ファンの間でも広く知られています。舞台が岐阜県大垣市に集中している中で、東京の学校がモデルに使われたのは少し意外ですが、校舎の外観や周囲の風景が劇中描写と一致していることがその理由です。

駒込高等学校は1926年創立の歴史ある中高一貫校で、自由な校風を特徴としています。英語教育や海外研修制度にも力を入れており、難関大学への進学実績も豊富です。部活動も盛んで、硬式野球部や文化系クラブの活動が知られています。卒業生には萩本欽一さんや江口洋介さんなど、芸能界や各分野で活躍する著名人もいます。

普段は一般公開されていませんが、文化祭の時期には校舎に入ることが可能で、映画に登場した外観や校庭を重ね合わせて楽しむファンも多いようです。大垣市内の聖地とは距離がありますが、物語を象徴する学園生活の舞台を確かめたい方にとって、“もうひとつの聖地”といえるでしょう。

まとめ

『聲の形』の聖地巡礼は、登場人物の心情と深く結びついた舞台を現地で辿れる、かけがえのない体験です。大垣市をはじめとする岐阜の風景は、物語を支える重要な背景として描かれ、訪れることで作品世界のリアリティを肌で感じられます。実際に歩けば、将也や硝子たちが交わした言葉や感情が、その場にいまも息づいているかのように思えるでしょう。映画や原作で心を動かされたあの場面を、自分の目で確かめる旅へ。『聲の形』の舞台と現実が重なり合う、特別な巡礼を楽しんでみませんか。