白川郷で世界遺産に背を向けて撮影する人続出? バズった“謎の小屋”は『ひぐらしのなく頃に』の聖地

“8万いいね”を集めた白川郷の小屋撮影現象が注目を集める

「白川郷に来たオタクが世界遺産の合掌造を背にこぞって写真を撮る謎の物置」。そんな文言とともに投稿された一枚の写真がX上で大きな話題になっている。投稿は19日に行われ、現時点で8万を超える「いいね」を記録。多くの観光客が合掌造の集落を背景に写真を撮る中、オタクだけが“逆方向”に向かってカメラを構えるという光景が、共感を呼び瞬く間に拡散した。

なぜ、あえて世界遺産に背を向けてまで撮られる小屋があるのか。その答えは、人気アニメ『ひぐらしのなく頃に』にある。

“ただの小屋”と思われた建物が『ひぐらし』ゆかりの場所だった

『ひぐらしのなく頃に』は、同人サークル「07th Expansion」が制作したサウンドノベルを原作とするミステリー作品で、2006年のアニメ化を機に社会現象的なヒットとなった。のどかな寒村「雛見沢村」を舞台に、連続怪死事件や村の伝承を中心とした重層的な物語が展開され、白川郷はそのモデル地として長年“巡礼の地”として親しまれてきた。

件の小屋は、作中の主要キャラクターで、幼なじみ同士の北条沙都子と古手梨花が暮らす家のモデル地とされている場所だ。今回の写真でも分かるように、外観は長い年月を経た落ち着いた佇まいで、二階建てながらも素朴でこぢんまりとした構造が特徴である。片側にはトタン板や資材が寄せられており、山間の暮らしの中で長く使われてきた建物ならではの実用的な雰囲気が漂う。華美な装いこそないものの、『ひぐらし』の世界が持つ静かな空気感や村の風景と響き合う魅力があり、ファンにとっては“雛見沢の気配”を自然と感じられるスポットとなっている。

「自分も撮った」と巡礼者が過去写真を次々投下

この投稿には「自分も撮っていた」「確かに行ったら真っ先にここを撮った」「行きましたね。撮りましたね」という声が次々と寄せられ、同じ小屋の写真を添えて参加するユーザーが続出した。さらに、作中の古手神社のモデルである白川八幡神社の写真を合わせて投稿し、かつて白川郷を聖地巡礼した思い出を懐かしむユーザーの姿も多く見られた。

世界遺産として知られる白川郷だが、アニメファンにとっては作品の余韻が静かに宿る“もう一つの白川郷”でもある。合掌造とは反対側にレンズを向けるファンの姿は、聖地巡礼という文化が持つ奥深さと、フィクションの気配を現実の中に探し続ける楽しさを象徴している。作品の記憶が土地と重なる瞬間こそ、聖地巡礼の醍醐味といえるだろう。