アニメ『ゾンビランドサガ』で、ゾンビアイドル「フランシュシュ」が暮らす洋館のモデルとなった佐賀県唐津市の「旧三菱合資会社 唐津支店本館」。ファンにとって特別な聖地であるこの建物を再生させるためのクラウドファンディングが、9月1日から始まった。目標は1000万円。寄付はふるさと納税ポータルサイト「さとふる」で受け付けている。

『ゾンビランドサガ』は、謎のプロデューサー巽幸太郎にゾンビとして甦らされた7人の少女たちが、ご当地アイドル「フランシュシュ」として佐賀県を救うべく奮闘する物語である。2018年に放送された第1期は大きな話題を呼び、数々のアニメ賞を受賞。続編『ゾンビランドサガ リベンジ』が2021年に放送され、劇場版『ゾンビランドサガ ゆめぎんがパラダイス』も2025年10月24日に公開予定だ。作品とともに佐賀県全体が盛り上がり、フランシュシュは佐賀県PR大使に就任するなど“ご当地アニメ”の枠を超えた存在感を放っている。
洋館は1908年(明治41年)に建てられた木造建築で、唐津港の石炭産業を支えた歴史的価値を持つ。老朽化により2003年から休館状態にあったが、『ゾンビランドサガ』に登場して以降は全国からファンが訪れる巡礼地となった。玄関やベランダの外観は、アニメの名シーンを思い起こさせる象徴的な舞台である。
唐津市は2022年度から修復事業を進めており、2027年度から保存工事が本格化する予定。2031年以降には一般公開を予定している。修復過程では特別公開や工事見学会も行われ、復活の道のりをファンが見届けられる機会も設けられる。
今回のクラウドファンディングは4回目の実施。唐津市は「文化財の価値を守りながら、多くの人に訪れてもらえる場を目指す」としており、ファンの支援が欠かせない。フランシュシュが再び立ち上がったように、洋館もまた人々の思いで甦ろうとしている。この聖地を未来につなぐために、今こそ一人ひとりの力が求められている。
