「連載作家が大きな機会損失」浅野いにおが異例の苦言 小学館「マンガワン」問題に言及

『堕天作戦』原作者起用が発端に

『ソラニン』『おやすみプンプン』などで知られる漫画家の浅野いにおが2日、SNSを更新。小学館の漫画配信サービス「マンガワン」をめぐる原作者起用問題について言及し、編集部単体ではなく全社的な課題として向き合うべきだと求めた。

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小学館 © Kounoichi / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0

「マンガワン」をめぐっては、漫画『堕天作戦』の原作者・山本章一氏が児童買春・ポルノ禁止法違反(製造)の罪で逮捕・略式起訴され、同作が連載中止となった後、ペンネームを「一路一」に変更して漫画「常人仮面」の原作者として起用されていたことが判明し、批判が相次いでいる。

『葬送のフリーレン』『めぞん一刻』『らんま1/2』など人気作にも波及

問題の影響は配信作品にも及んでおり、「マンガワン」では『葬送のフリーレン』『めぞん一刻(新装版)』『らんま1/2(新装版)』など複数作品が閲覧できない状態となっていることが確認された。これらの作品ページには「この作品は掲載終了いたしました」と表示され、スマートフォンアプリおよびWebの双方から閲覧できない。他にも『アオイホノオ』『吼えろペン』『MAJOR』『土竜の唄』『機動警察パトレイバー』などが同様の状態となっている。

小学館は2月28日付で声明を発表し、山本氏の件について本来起用すべきではなかったと認めたうえで、配信停止と単行本出荷停止を実施したと説明した。同社は、原作者起用の判断と確認体制に重大な問題があったとの認識を示し、弁護士を加えた調査委員会を立ち上げて経緯や原因の解明、再発防止策の策定を進めるとしている。また、担当編集者が原作者と被害者側の和解協議に関与していた経緯も判明し、人権・コンプライアンス意識をめぐる議論が一層強まっている。

さらに3月2日には追加のリリースを公表。社内調査の過程で、マンガワン編集部において『星霜の心理士』についても原作者起用プロセスの検証が必要な可能性が判明したとし、第三者委員会を設置する方針を明らかにした。同作の原作者については、過去の有罪判決歴を編集部が把握した上で起用していたと説明されており、起用判断の妥当性そのものが問われる構図となっている。同委員会では、『堕天作戦』連載中止時の事実関係、『常人仮面』連載開始の経緯、担当編集者が原作者と被害者側の和解協議に関与していた経緯などを含め、起用プロセスや編集部の人権意識を検証するとしている。

「編集部だけの問題ではない」浅野いにお、作家フォローの具体策を要求

こうした状況を受け、浅野は自身のXで「マンガワンに関して。小学館で連載している身として発言します」と投稿。「小学館はこれをマンガワン編集部だけの問題とせず、小学館の全社的な問題として向き合ってください」と訴えた。さらに、「特にマンガワンでのオリジナルの連載作家が大きな機会損失を被っていることに対する金銭の補填、希望があれば連載移籍先の確保等、会社として責任のある具体的フォローを強く求めます」と主張した。

今回の一連の対応は、デジタル漫画配信における作家起用やリスク管理の在り方そのものを問い直す事態となっている。第三者委員会による調査の行方とともに、小学館がどのような具体的な再発防止策と作家・読者へのフォローを示すのか、引き続き注視される。