“魔女をやめる”という選択が投げかけるもの
『おジャ魔女どれみ ドッカ~ン!』第40話「どれみと魔女をやめた魔女」が、2026年2月18日20時よりYouTube「東映アニメーションミュージアムチャンネル」にてプレミア公開される。アーカイブは2週間限定での配信となる予定だ。
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2002年2月から2003年1月にかけて放送された本作は、『おジャ魔女どれみ』シリーズ第4期にあたり、4年にわたるテレビシリーズの最終章として“卒業”へと向かう物語を描いた。その終盤に位置する第40話は、シリーズの中でもとりわけ評価の高いエピソードとして知られている。
物語は、主人公・どれみが新しく越してきた女性・佐倉未来と出会うところから始まる。未来は「もう二度と魔法は使わない」と決めた元魔女。吹きガラス作りを通じて交流を重ねるなかで、未来は自らが生きてきた長い“魔女の時間”について語る。どれみは未来を街へ案内しながら、魔女としての将来、自分が進むべき道について思いを巡らせていく。“魔女になる”ことを夢見てきた少女に対し、“魔女をやめる”という選択肢が提示される構図は、シリーズのテーマを静かに掘り下げる。
本エピソードの演出を手がけたのは、のちに『時をかける少女』や『サマーウォーズ』などで国内外から高い評価を受けることになる細田守。脚本は大和屋暁が担当した。
象徴的なカットが示す“分岐”と“時間”
演出面について、アニメーション研究に詳しい専門家は、本話が細田守の作家性を読み解くうえで重要な位置を占めると指摘する。冒頭で二股に分かれた道路標識をクローズアップするカットについては、「物語の中でどれみが直面する“選択”を象徴する構図として機能している」と分析。「単なる背景描写ではなく、画面設計そのものがテーマと結びついている点に、この回の完成度の高さが表れている」と語る。
未来が語る「ガラスは千年かけてゆっくり動く」という台詞とともに描かれる吹きガラスの場面についても、「人間と魔女の時間感覚の差異を視覚的に提示する演出」と評価。「ガラス越しにゆがむ風景を反復することで、抽象的な“時間”という概念を観客に体感させている」と説明する。
テレビシリーズの一話を超える完成度
さらに、定点に近い長回しや夕暮れの強い光と影のコントラストについては、「シリーズの中でも叙情性を際立たせる要素」との見方を示す。「魔法を用いない日常的な空間で物語を進行させることで、どれみを“魔法少女”ではなく一人の少女として立たせている。その距離感が、視聴者の共感を強く引き出している」と指摘する。
こうした演出の積み重ねについて専門家は、「“時間”と“選択”というテーマは、後年の『時をかける少女』にも通じる。テレビシリーズの一話でありながら、細田守の劇場作品に連なる問題意識がすでに表れている」と総括。本話が“伝説の回”と称される背景には、物語そのものの完成度に加え、後の名匠へとつながる演出の萌芽が刻まれている点があるといえそうだ。
シリーズ終盤を象徴するエピソードであり、細田守の原点としても注目される「どれみと魔女をやめた魔女」。期間限定配信となる今回の公開は、その評価の理由をあらためて確かめる機会となりそうだ。
東映アニメーションミュージアムチャンネル:https://www.youtube.com/@toeianime_MC/
