興行収入200億円突破の映画『国宝』、ヒットの理由はアニメ?プロデューサー発言が話題に「アニメが観客の目を育てた」

伝統芸能を描いた大作、邦画実写初の200億円超えへ

実写映画『国宝』の大ヒットをめぐり、その成功の背景について語ったプロデューサーの発言が注目を集めている。海外メディアの取材に対し、同作の成功要因の一端として「アニメの存在」を挙げたコメントは、長年アニメ文化を追ってきたファンにとっても興味深い視点だ。

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『国宝』は吉沢亮主演、横浜流星ら共演、李相日監督による作品で、上方歌舞伎の名家に引き取られたやくざの息子と、その家の御曹司が芸の道を極めながら50年にわたりしのぎを削る姿を描く一代記。歌舞伎という伝統芸能を真正面から扱い、吉沢、横浜をはじめとするキャストが吹き替えなしで挑んだ歌舞伎シーンも大きな話題を呼んだ。東宝の発表によると、公開255日間で観客動員数は1415万2409人、興行収入は200億851万9000円を記録。邦画実写史上初の200億円突破という快挙を達成した。さらに第98回アカデミー賞メーキャップ&ヘアスタイリング賞にもノミネートされ、国際的な評価も高まっている。

(C)吉田修一/朝日新聞出版(C)2025映画「国宝」製作委員会

Variety掲載の村田千恵子プロデューサーのコメント “若年層の鑑賞力”への言及

こうした成功について、米映画メディアVarietyに掲載された記事の中で、プロデューサーの村田千恵子氏は次のように語ったと報じられた。

「正直、『国宝』がここまでヒットするとは思っていませんでした。原作未読や歌舞伎に馴染みのない人には敷居が高い作品ですが、過去数十年にわたる質の高いアニメ作品のおかげで、若い観客の“目”が成熟していると感じました」

歌舞伎というハードルの高い題材にもかかわらず若年層を含む幅広い層が劇場に足を運んだ背景に、日本アニメが培ってきた表現体験があるのではないか、という見立てだ。

アニメと実写は対立か相互作用か SNSで広がる議論

この発言はSNSでも拡散され、「アニメが実写映画を見る目を育ててきたという話は腑に落ちる」といった共感の声が上がった。かつては「アニメに観客を奪われる」との危惧もあったが、むしろ良質なアニメが観客の鑑賞力を底上げし、実写作品にも波及しているのではないかという指摘だ。一方で、「ヒットの要因は脚本や演出、主演俳優の人気も大きい」「単純な因果ではない」とする冷静な意見も見られ、議論は多角的に広がっている。また、『国宝』の製作にアニプレックスが関わっている点や、脚本を『時をかける少女』『サマーウォーズ』などを手がけた奥寺佐渡子氏が担当している点を踏まえ、「アニメ的文脈と無縁ではない」という指摘も上がっている。

アニメ文化が観客の“目”を耕し、その土壌の上で実写映画が花開く――。村田氏の発言は、日本の映像文化がジャンルを越えて影響し合いながら成熟してきた可能性を示すものとも言えそうだ。アニメと実写の関係性をめぐる議論は、今後もさまざまな作品を通じて続いていくだろう。

Variety「Japan’s New Dawn: Seven Films at Berlin Signal Industry Renaissance」:
https://variety.com/2026/film/festivals/japan-berlin-film-festival-1236653321/