数十秒で物語を描く新世代の動画生成技術
動画生成AIの進化が、アニメファンの間に新たな議論を巻き起こしている。ByteDanceが発表した最新モデル「Seedance 2.0」によって制作されたとみられる『チェンソーマン』の“別エンディング”動画がSNS上で拡散され、技術の高さに驚く声が上がる一方で、原作の物語を改変することへの戸惑いも広がっている。
【あわせて読みたい】女性声優はなぜ増えた? 225名から1135名へ、声優グランプリ「声優名鑑」が示す現在地
Seedance 2.0は、TikTokを運営するByteDanceが発表した動画生成AIだ。テキストの指示に加え、複数の画像や短い動画を参考素材として入力できるのが特徴で、キャラクターの見た目や動き、カメラワークなどを比較的細かく指定できる。数十秒ほどで2K画質の動画を生成できるとされ、音声付きの映像も自動で作成可能だ。複数のカットをつないだ短いストーリー仕立ての動画も生成できることから、単なるワンシーンの映像ではなく、物語性のあるコンテンツ制作が可能になった点が注目されている。
公式には存在しない“もう一つの結末”
話題となっているのは、このSeedance 2.0で制作されたとされる『チェンソーマン』のIFストーリー動画だ。原作やアニメ版とは異なり、レゼがマキマを倒し、デンジと再会するという展開が描かれている。映像は既存のアニメ作品を思わせるクオリティで、キャラクターの動きや表情も自然に再現されている。技術的完成度の高さが、まずは強烈なインパクトを与えた形だ。
SNS上では、「もはや普通のアニメのワンシーンに見える」「技術の進歩が早すぎる」と完成度を評価する声がある一方、「原作への冒涜ではないか」「あのラストを汚さないでほしい」と批判する声も上がっている。また、「こういうIFストーリーを自分で作れる時代になったのか」という複雑な感情も見られる。中には「これはこれで号泣する自信がある」と受け入れる声もあり、賛否は大きく分かれている。
二次創作と権利の線引きはどこにあるのか
こうした動きの背景には、著作権の問題がある。人気作品のキャラクターや世界観を用いた映像をAIで生成することは、原作の著作権や二次創作の範囲と密接に関わる。たとえ個人の創作であっても、公式と誤認される形で拡散されれば、権利者に影響を及ぼす可能性は否定できない。AIによって制作コストが大幅に下がる今、既存IPの扱いをどこまで許容するのかという線引きは、より重要なテーマとなりそうだ。
Seedance 2.0の登場は、誰もが映像クリエイターになれる時代の到来を感じさせる一方で、作品世界や作者の意図をどう尊重するかという課題も浮き彫りにしている。技術の進化と創作の倫理。そのバランスをどう取るのかが、今後のAI時代のコンテンツ文化を左右していくことになりそうだ。
Seedance 2.0:https://seedance2.ai/ja
