庵野秀明、旧経営陣の不誠実対応に「昔のような関係には戻れない」 ガイナックス破産整理終了を受け声明

ガイナックス、42年弱の歴史に幕引き

株式会社カラーの公式サイトが11日に更新され、代表取締役の庵野秀明が、株式会社ガイナックスの破産整理が終了したことを報告した。声明では、旧ガイナックス経営陣による不当な権利移譲や資料譲渡が過去に行われていたこと、これに対してカラーが民事訴訟を提起し、2023年1月に和解が成立していたことが述べられた。

庵野はガイナックス創設期からの主要スタッフであり、『トップをねらえ!』『ふしぎの海のナディア』『新世紀エヴァンゲリオン』など多数の代表作を手がけた中心クリエイターである。2006年に独立して株式会社カラーを設立し、その後スタジオカラーが発足した。独立後もエヴァンゲリオンの権利関係やロイヤリティ契約、経営支援などを通じてガイナックスとの深い結びつきが続いたが、ガイナックス側は未払い問題や訴訟を経て経営が悪化し、最終的には破産・商標管理移行という形で幕を下ろした。

株式会社カラー『「株式会社ガイナックス」について』

庵野秀明「誠に残念な最後ですが、静かに受け止めています」

声明文の中で庵野は、破産整理が終わり会社が消滅した事実について「創設期から20年以上籍を置き、今日まで株主として関わっていたものとして誠に残念な最後ですが、静かに受け止めています」と述べた。

その一方で、2019年の前社長逮捕後、再建と整理のために6年近く無償で支援した関係各社への感謝を示し、協力により「各位のご協力を賜り、各作品の権利処理、権利譲渡、制作成果物等各種資料の譲渡に関しまして、正当な手続きをもって、各権利者やクリエイターに無事お戻しする事が叶いました」と報告した。

旧経営陣との決別を語る「怒りを通り越して悲しくなりました」

庵野は続けて、これまで表に出ていなかった「残念な事実」として、旧経営陣による不当な権利移譲・資料譲渡が確認されたことを述べた。これに対してカラーは民事訴訟を提起し、2023年1月に庵野側の主張を認める形で和解が成立したという。

和解までの過程で、ガイナックス内部のメールや契約書類を精査する中で、旧経営陣の不誠実な対応が次々と明らかになった。庵野は、福島ガイナックス元代表の浅尾芳宣氏や、学生時代からの友人でもあった山賀博之氏、武田康廣氏らが、自身やカラーに対して虚偽の説明を繰り返し、返済を逃れるための画策を行っていたことを知ったと述べている。さらに山賀氏が社員に「入院中とかたる居留守指示」を出していた文面や、カラーを敵視する発言などを確認したことで、「怒りを通り越して悲しくなりました」と落胆を記した。

庵野は「彼らとは昔のような関係にはもう戻れないであろうことを改めて思い知り、心底残念に思います」と断言し、和解に応じた理由を「これ以上弊社の時間を割くことを望まなかったから」と述べた。

さらに庵野は、旧経営陣が多くの責務を放棄したままスタジオを手放した現状を強く批判しつつ、最後まで資料保全と債権者対応に努めた神村靖宏前代表に対し、深い感謝の言葉を送った。「神村、ありがとう。そして、御苦労様でした」という言葉で声明を締めくくっている。

今回の声明により、旧経営陣との間で続いていた係争が和解をもって整理されていたことが改めて示された。破産後の権利や資料については、関係者の協力により適切な形で引き継がれたとされる。

株式会社カラー『「株式会社ガイナックス」について』:https://www.khara.co.jp/2025/12/11/251211/