DRAGON BALL STORE描き下ろし炎上 元担当編集者が痛烈批判「ファンに甘えた詐欺」

SNSで指摘が相次いだビジュアルの違和感

11月14日、東京駅一番街にオープンした「DRAGON BALL STORE TOKYO」は、本来であれば世界中のファンが祝うべき拠点となるはずだった。ところが、オープン前から掲出されていた描き下ろしイラストがSNS上で激しい議論を呼び、店舗への期待そのものを巻き込む形で騒動へと発展した。さらに、原作者・鳥山明氏の元担当編集者である鳥嶋和彦(マシリト)氏が生配信で見解を示したことで、問題点はより立体的に可視化されることとなった。

「DRAGON BALL STORE TOKYO」は東映アニメーションが手がける世界初の公式ストアであり、限定グッズや世界観展示を特徴としている。だが、期待が高まるなかで公開された新規描き下ろしの孫悟空イラストが、賛否の的となった。超サイヤ人悟空や超サイヤ人ブルー悟空がかめはめ波を構える構図は迫力を狙ったものだが、SNSでは「背景と同化して輪郭が生きていない」「腕の動きが破綻している」「AIのように見える」といった指摘が連続し、公式ビジュアルとしての説得力を欠くのではないかという疑念が拡散した。ブランドの“看板”となるビジュアルであるだけに、違和感は大きく受け止められ、議論は容易に沈静化しなかった。

マシリト氏が現地で下した辛辣な評価

11月30日に配信されたYouTubeチャンネル「ゆう坊とマシリトのKosoKoso放送局」で、店舗を訪れた鳥嶋氏は問題のビジュアルを目にした率直な感想を語った。「はっきり言ってクソだね。クソ以下だね」と切り捨てたうえで、まず色彩設計の欠陥を指摘した。背景とキャラクターの色味が近いため輪郭が際立たず、アクションの勢いが弱まっているという。キャラクターをどう見せるかという基本原則が押さえられていないという見方である。

続けて構図やポージングにも言及し、「この姿勢ではかめはめ波を撃てない」と明確に批評した。重心の置き方、腕の角度、視線の流れといった基礎的な作画チェックが監修のどこかで抜け落ちているのではないかと疑問を呈した。

さらに鳥嶋氏は、今回のイラストや商品構成について「ドラゴンボールのファンが行って、ワクワクするような形の設計やコンセプトが一切ない」「本当にドラゴンボールを好きで上手い人に描かせたのではなく、そのへんの手空いてる奴捕まえて描かせたような感じ。東映アニメもCCT(カプセルコーポレーション・トーキョー)も原作を舐めてるよね」と述べたうえで、「偽物は買わないでください。粗悪品は買わないでください」と強い言葉を投げかけた。これは、ブランドを守ってきた立場からの警鐘であり、単なる怒りの表出ではない。

揺らぐブランド価値 問われる監修体制と原作への敬意

議論はそのまま版権体制の構造にも踏み込んだ。原作の権利を持つ集英社、アニメ版権の東映アニメーション、商品の監修を担うカプセルコーポレーション・トーキョーなど、多層的な権利関係が品質保証の所在を曖昧にしている可能性を鳥嶋氏は示唆した。グッズの質や店舗設計のばらつきについても、企業間の連携不足が背景にあるのではないかという指摘である。

「君たちがやっていることは、ある種ファンに甘えた詐欺に近い」と鳥嶋氏は断じた。「DRAGON BALL STORE TOKYO」は40年以上にわたり世界で愛されてきた作品を象徴する場所であり、本来であればブランド価値を増幅させる存在であるべきだ。しかし今回の騒動は、その根幹に揺らぎをもたらした。ドラゴンボールという巨大IPにおいて、原作への敬意と品質への執念は欠かせない。今回の問題は、作品づくりや商品監修の“基本”へ立ち返る必要性を改めて示したと言える。

ゆう坊とマシリトのKosoKoso放送局:https://www.youtube.com/@KosoKoso%E6%94%BE%E9%80%81%E5%B1%80