押井守×天野喜孝『天使のたまご』4K版、北米興収1億円突破!1985年の実験作が世界で再評価

北米で拡大続く日本アニメ人気の現在地

日本のアニメが世界で存在感を高め続けている。『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』は北米市場で週末オープニング時に約7,000万ドル(約103億円)を記録し、現地のアニメ映画興行記録を更新した。また、『チェンソーマン レゼ篇』も北米3000館あまりで公開され、週末興収1,725万ドルを達成するなど、アニメは主流コンテンツとして確固たる地位を築きつつある。このような流れの中で、1985年のオリジナルアニメ『天使のたまご』が、時を超えて再び注目を集めている。

🄫押井守・天野喜孝・徳間書店・徳間ジャパンコミュニケーションズ

4K版が導いた異色作『天使のたまご』熱視線の理由

『天使のたまご』は押井守が原案・脚本・監督、天野喜孝が原案・アートディレクションを手がけた伝説的OVAである。水没した都市を舞台に、たまごを抱く少女と“鳥”を探す少年の邂逅を描いた本作は、モノトーンに近い色彩や抑制された台詞といった独特の表現で高い評価を受けてきた。40周年を迎える2025年には押井本人監修のもと、35mmフィルム原版からスキャンした4Kリマスター版が11月14日よりドルビーシネマで先行公開、21日より全国拡大公開されている。

北米では11月19日に公開され、約400館規模ながら初日から2日連続でBox Officeデイリー4位を獲得した。2日間累計興収は676,099ドル(約1億円)に達し、当時のOVAが現在の北米市場で健闘する異例の事態となっている。

日本国内でも動員1.5万人、興収3,700万円を突破し、丸の内ピカデリー、T・ジョイ梅田、シネクイントで行われた舞台挨拶付き上映は全席完売。1985年当時の限定公開とは一線を画す広がりを見せている。

展覧会や書籍発売が示す再評価ムーブメントの拡大

作品をめぐる熱はスクリーンの外にも広がっている。渋谷シネクイントでは40周年記念展「天使のたまご 40th anniversary exhibition」が開催され、押井守と天野喜孝が共有した約70点のイメージボード展示や新規描き下ろし、立体作品など、制作の核心に触れられる展示が連日注目を浴びている。また、4Kリマスター版からの厳選100カットと押井守による書き下ろしエピグラム100篇を収めた『天使のたまご THE VISUAL COLLECTION』も発売され、作品世界の再発見を支える一冊として話題を集めている。

40年を経て蘇った本作は、海外興行・国内動員・展示会・書籍出版と、多方面で再評価が加速している。静謐で象徴的な世界観がいま再び広がりを見せる中、『天使のたまご』をめぐる熱は当分冷めることはなさそうだ。

アニメ『天使のたまご』オフィシャルサイト:https://angelsegg-anime.com/