TVアニメ第5期の放送が2026年に決定している人気ラブコメ『彼女、お借りします』が、9月17日に単行本第42巻を発売した。連載開始から8年以上にわたる長期シリーズとなっており、作者がその理由を明かしたコメントが話題を呼んでいる。
『彼女、お借りします』は、宮島礼吏によるラブコメディ。大学生・木ノ下和也がレンタル彼女・水原千鶴と出会ったことをきっかけに、恋と成長の物語を描く。週刊少年マガジン(講談社)で連載中の原作漫画は、世界累計発行部数1400万部を突破している。
今回第42巻が発売され、X(旧Twitter)では、同作が『ドラゴンボール』(全42巻)と並ぶ巻数に到達したことを指摘する投稿が注目を集めていた。この指摘に対し、作者の宮島礼吏は「作者の思い通りに動いてくれないキャラ達ばかりで、気付けばこんな巻数になってました」とコメント。自然体ながらも、作品が長く愛されてきた理由の一端をのぞかせた。
この投稿に対し、「もっともっと読みたい!」「人間ドラマとしてもここまで感情移入できるラブコメ作品は珍しい」「先生自身が納得する展開で最後まで書ききって欲しいです!」など、作品への感慨や作者への称賛が相次いでいる。
一方で、ラブコメを長期連載する難しさをめぐり、『いちご100%』などで知られる漫画家・河下水希の過去の投稿を引き合いに出す声もあった。河下は以前、「ラブコメは『ラスボスを変えられない』ことが難しい」と語っている。
バトル漫画では、最初の敵を倒した後も「より強い敵」を登場させて物語を続けられる。しかしラブコメでは、最初に登場する第1ヒロインが最終回まで“ラスボス”のままであり、主人公が彼女と結ばれた瞬間に物語が終わってしまう。そのため、物語を続けるには、主人公の恋心を揺らがせたり、すれ違いや障害を巧みに作り出したりといった構成力が求められるという。
河下は「そんなふうに、1人のラスボスで何十巻も続くラブコメ作品は本当に大変」とまとめており、その観点からも『彼女、お借りします』が42巻まで続いていることの稀有さが浮かび上がる。キャラたちが勝手に動き出し、気付けば42巻――宮島礼吏が描く“終わらない青春”は、これからも読者の心を揺さぶり続けそうだ。
