アニメーション映画『君たちはどう生きるか』を多角的に読み解く文庫シリーズの最新刊『ジブリの教科書21』が、8月5日に文藝春秋から発売された。主題歌を手がけた米津玄師さんや、ヒミ役を演じたあいみょんさんのロングインタビューをはじめ、豪華執筆陣による評論や関係者の証言を収録。世界的ヒットとなった宮﨑駿監督作の創作過程と作品世界に迫る内容となっている。

「ジブリの教科書」シリーズは、スタジオジブリ作品の制作背景、出演者や制作陣のインタビュー、各界の識者による評論を収めた文庫シリーズで、これまでに20冊が刊行されてきた。今回は約7年ぶりとなる第21巻として、『君たちはどう生きるか』を特集する。
本作『君たちはどう生きるか』は、宮﨑駿監督が2013年に発表した引退宣言を撤回し、7年以上の歳月をかけて完成させた長編アニメーション。自身の少年時代の記憶を反映させた自伝的なファンタジーとしても注目され、2024年には米アカデミー賞長編アニメ映画賞を受賞するなど、国際的な評価を獲得した。
書籍では、作画監督・本田雄氏の起用や、事前宣伝を一切行わない異例の公開手法といった制作の舞台裏を紹介。また、音楽を手がけた久石譲さんと主題歌を担当した米津玄師さんによるインタビューでは、それぞれの創作の背景や、宮﨑作品への思いが語られている。

キャストインタビューでは、主人公・眞人を演じた山時聡真さんと、ヒミ役のあいみょんさんが登場。あいみょんさんは「ヒミは眞人のなかで燃え続ける魂のような存在」と語り、役への解釈を明かしている。
さらに、歴史学者の藤原辰史氏、哲学者の千葉雅也氏、臨床心理士の東畑開人氏、小説家の冲方丁氏らが、それぞれの専門的視点から作品を読み解く評論を寄稿。映像監督の山崎貴氏、塚原あゆ子氏らによる作品評も収録されており、映像表現における宮﨑駿作品の独自性にも迫っている。
プロデューサー・鈴木敏夫氏の新規インタビューも掲載されており、アニメーションとしての表現そのものが持つ力を改めて問いかける一冊となっている。
『ジブリの教科書21 君たちはどう生きるか』は、文庫判全240ページ、定価1430円(税込)。全国書店およびオンライン書店で購入可能。
