株式会社ブシロードのグループ分析組織・アニメデータインサイトラボは、2025年夏クールに放送された全81作品を対象に、トレンド指数(Google検索量)とファン指数(X投稿量)の両面から注目度の推移を検証した「2025年夏アニメの初速分析」を公開した。分析は放送開始から4週間のデータを追い、作品ごとの成長パターンを可視化した結果、従来の初週注目度だけでは測れない“続けて愛される力”という新たな評価軸が浮かび上がった。

今回の調査では、初週で最も注目を集めた作品と、放送を重ねるごとに評価を伸ばした作品が異なることが浮き彫りになった。特に、『タコピーの原罪』と『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』は対照的な成功の形を示し、夏アニメを象徴する存在となった。

分析によると、初週のトレンド指数(検索量)で圧倒的首位を獲得したのは『タコピーの原罪』だった。原作漫画が「ジャンプ+」で史上初の300万閲覧を記録した話題性に加え、ネットを騒がせた衝撃的なPVや、キャスティングの妙によって放送開始前から強い注目を集めていた。実際、トレンド指数は最大値となる100を記録し、ファン指数でも90.8と高水準を維持。放送開始直後から大きな話題を巻き起こす「大型話題作」の典型例となった。

一方、初週の注目度は平均以下だった『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』が、4週目に入ると急浮上。トレンド維持率は初週比189%と全作品中最高を記録した。作品を見た人が「もっと知りたい」と調べる動きが広がり、放送を重ねるごとに注目度が加速していくという、典型的な“じわ伸び”のパターンを描いた。
アニメデータインサイトラボによると、『ミルキー☆サブウェイ』の成功には複数の要因がある。2022年にYouTubeで公開され670万回再生を突破した前作『ミルキー☆ハイウェイ』の存在が、ファンの期待を高めていたこと。さらに、1話4分という短尺構成が日常の中で視聴しやすく、YouTubeで11言語吹替版を同時配信するという異例の展開が、海外を含む新規層の獲得につながったことが大きい。加えて、池袋PARCOでの展示会などオフラインの施策もファン層の熱を高め、SNS上での継続的な盛り上がりを後押しした。
今回の分析からは、アニメの成功には「初動で爆発的に話題を集める型」と「放送を重ねてじわじわ伸びる型」という二つの軸があることが明らかになった。『タコピーの原罪』は圧倒的な初速で注目を集めた一方、『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』は時間をかけて愛され続け、最終的に最も成長した作品として名を刻んだ。
アニメデータインサイトラボは総括として、初週の注目度だけでなく「続けて愛される力」が新たな評価軸として可視化されたと指摘している。今後のアニメ業界では、作品がどのように話題を生み、どのように長く愛されていくのか──その両面を見極めることが求められそうだ。
