『耳をすませば』聖地巡礼スポット8選|東京・聖蹟桜ヶ丘の舞台を徹底解説

1995年に公開されたスタジオジブリ作品『耳をすませば』。聖蹟桜ヶ丘を舞台に、読書好きな中学生・雫と、バイオリン職人を志す聖司の出会いと成長を描いた青春物語は、今も多くの人の心に残り続けています。リアルな街並みを背景に描かれた恋と夢のストーリーは、「あの坂道を自分も歩いてみたい」と思わせる力を持っています。

この記事では、『耳をすませば』の舞台となった聖蹟桜ヶ丘の聖地スポットを7か所に厳選してご紹介。駅や坂道、神社、ロータリー、そして見晴らしの丘まで、映画の世界を実際に体感できる巡礼ルートをあわせて解説します。

映画の記憶をたどりながら、雫と聖司が過ごした聖蹟桜ヶ丘へ――。作品の余韻を感じる小さな旅に出かけてみませんか?

『耳をすませば』とは?あらすじと見どころ

『耳をすませば』は、柊あおいの同名漫画を原作としたスタジオジブリ作品で、近藤喜文が初めて劇場監督を務めた長編アニメーションです。企画と脚本を宮崎駿が手がけ、柔らかな映像表現と繊細な心理描写で、今も多くの人の心をつかみ続けています。

物語のあらすじは、本好きの中学生・月島雫が、図書館で借りる本の貸出カードに必ず書かれている「天沢聖司」という名前をきっかけに少年と出会うところから始まります。バイオリン職人を目指す聖司に触発され、雫も小説を書くことに挑戦。夢と恋に揺れながら、自分の未来と向き合っていきます。

見どころは、思春期特有の不安やときめきを丁寧に描き出したストーリーと、どこか懐かしさを感じさせる日常風景の数々。アンティークショップ「地球屋」での温かな交流や、雫が創作に打ち込む姿、そしてラストに示される未来への決意は、観る人に強い余韻を残します。
淡い恋と夢への挑戦を重ね合わせた『耳をすませば』は、青春映画の名作として世代を超えて愛され続けています。誰もが経験する悩みや憧れを映し出したこの物語は、今もなお多くの人に共感を呼び起こしています。

【『耳をすませば』の聖地】雫と聖司の青春を感じる街・聖蹟桜ヶ丘

聖蹟桜ヶ丘駅

『耳をすませば』で、雫が父親のお弁当を届けに図書館へ向かう際に降り立った「杉の宮駅」のモデルが、京王線の聖蹟桜ヶ丘駅です。駅前の京王百貨店をはじめ、当時の街並みが細部まで描かれており、実際の景観と重ね合わせて楽しむことができます。さらに聖蹟桜ヶ丘駅では、電車接近メロディーに映画の主題歌『カントリー・ロード』が流れます。駅前には、アンティークショップ「地球屋」をイメージしたモニュメント「青春のポスト」も2012年に設置され、願い事を書いたメッセージを投函できます。

画像出典:Wikimedia Commons(撮影:ITA-ATU)/ライセンス:CC BY-SA 4.0

住所:東京都多摩市関戸1丁目10-10
アクセス:京王線「聖蹟桜ヶ丘駅」下車すぐ
営業時間:始発〜終電(無休)※おおよそ5:00頃〜24:30頃

いろは坂

『耳をすませば』で雫が図書館へ駆け下りるシーンのモデルとされるのが、聖蹟桜ヶ丘の「いろは坂」にある階段です。松並木沿いの階段やカーブを描く長い階段は、映画の印象的な場面を彷彿とさせ、訪れるファンに人気のスポットとなっています。さらに、猫のムーンを追いかけて雫が駆け上がったり、聖司が自転車で雫を乗せて走ったりした舞台も、この「いろは坂」。聖蹟桜ヶ丘駅から丘へと続く急な坂道を歩けば、作品の世界をそのまま体感することができます。

画像出典:Wikimedia Commons(撮影:Kly)/ライセンス:CC BY-SA 4.0

住所:東京都多摩市桜ヶ丘4丁目43-25付近
アクセス:京王線「聖蹟桜ヶ丘駅」から徒歩10分
営業時間:終日(住宅地のため配慮必須)

いろは坂桜公園

『耳をすませば』では、雫の父が働く図書館はいろは坂の中腹にあるという設定になっていますが、実際には図書館は存在せず、作中描写から「いろは坂桜公園」にあると解釈されています。高台に位置するため多摩川や街並みを一望でき、作中の自転車シーンを思わせる雰囲気を感じられるスポットです。園内は地域の憩いの場である一方、ファンにとっては聖地巡礼の定番。春には桜が咲き誇り、作品の世界観と重ね合わせながら散策を楽しむ人々でにぎわいます。

画像出典:写真AC

住所:東京都多摩市桜ヶ丘4丁目33-9
アクセス:京王線「聖蹟桜ヶ丘駅」から徒歩10分
営業時間:終日(無休)※特に閉園時間の定めなし

金比羅宮

『耳をすませば』で、雫が幼なじみの杉村から告白されるシーンの舞台となったのが金比羅宮です。それまで恋愛に無関心だった雫の心が揺れ動き、物語の転機となる象徴的な場面でもあります。神社は、いろは坂を登り切った住宅街の中にひっそりと佇み、境内はこぢんまりとしながらも静かな空気に包まれ、訪れる人の記憶に残る印象的な存在感を放っています。周辺は古くから「金毘羅山」と呼ばれ、鎌倉時代には関戸の戦いがあったと伝わる歴史の地でもあります。

画像出典:Wikimedia Commons(撮影:多摩に暇人)/ライセンス:CC BY-SA 3.0

住所:東京都多摩市桜ヶ丘1丁目54-4
アクセス:京王線「聖蹟桜ヶ丘駅」から徒歩14分
営業時間:終日(参拝自由、無休)

天守台(関戸城跡)

『耳をすませば』で雫が図書館へ駆け下りるシーンの階段には、いろは坂の長い階段のほかにもう一つモデルがあるといわれています。それが、関戸城跡に残る「天守台」の階段です。作中では「天守の丘」という名前で登場し、物語の印象的なシーンの舞台の一つとなっています。実際には、この階段を下ると図書館(いろは坂桜公園)とは正反対の方向へ向かってしまいます。天守台は周辺で最も高い場所にあり、現在も桜ヶ丘の街並みを見渡せる人気の聖地巡礼スポットとして知られています。

画像出典:Wikimedia Commons(撮影:廣瀬 将則)/ライセンス:CC BY-SA 4.0

住所:東京都多摩市桜ヶ丘1丁目53-17
アクセス:京王線「聖蹟桜ヶ丘駅」から徒歩15分
営業時間:終日(住宅地のため配慮必須)

桜ヶ丘ロータリー

『耳をすませば』で雫が猫のムーンを追いかけ、アンティークショップ「地球屋」と出会う印象的な場面に登場するのが桜ヶ丘ロータリーです。いろは坂を登り切った先の住宅街にある円形の交通広場で、作品の世界観を象徴するスポットのひとつとされています。実際には「地球屋」は存在しませんが、かつてモデルとされる喫茶店があり、現在は閉店しています。周囲は閑静な住宅街のため、訪れる際は地元住民への配慮を忘れないようにしましょう。

画像出典:Wikimedia Commons(撮影:Kly)/ライセンス:CC BY-SA 3.0

住所:東京都多摩市桜ヶ丘4丁目1-1付近
アクセス:京王線「聖蹟桜ヶ丘駅」から徒歩15分程度(桜ヶ丘いろは坂を上りきった先)
営業時間:終日(住宅地のため配慮必須)

いろは坂の高台

『耳をすませば』のクライマックスで、聖司が雫に「結婚してくれないか」とプロポーズする舞台として知られるのが、いろは坂の高台です。ファンの間では「耳丘」と呼ばれ、作品を象徴する名シーンの聖地となっています。場所は、いろは坂を上がる途中の住宅街にあり、街を一望できる開放的な景観が魅力です。ただし現在は私有地のため立ち入りは禁止されていますが、周辺からでもその雰囲気を感じ取ることができます。

住所:東京都多摩市桜ヶ丘4丁目42-14付近
アクセス: ―(私有地のため立入不可)
営業時間:該当なし(立入不可)

愛宕団地

『耳をすませば』で雫が住んでいた団地のモデルとされるのが、多摩ニュータウンにある「愛宕団地」です。1970年代前半の多摩ニュータウン初期に完成したこの団地は、「あたご一息坂」と呼ばれる坂を上った先にあります。レトロな給水塔が印象的で、ファンの間でも有名なスポットです。さらに団地の裏手には、雫が親友・夕子から悩み相談を受けていた公園のモデルとされる場所も残っています。

住所: 東京都多摩市愛宕2丁目5-2
アクセス:京王線「聖蹟桜ヶ丘駅」から京王バス(桜72系統等)で約15分、「愛宕団地」バス停下車すぐ
営業時間:終日(住宅地のため配慮必須)

『耳をすませば』おすすめ聖地巡礼ルート

『耳をすませば』の聖地巡礼は、まず京王線・聖蹟桜ヶ丘駅からスタートしましょう。雫が通学で使ったホームや改札は、映画の玄関口として多くのファンが訪れる定番スポットです。

駅を出て歩いて向かうのは「いろは坂」。雫が何度も上り下りした印象的な坂道で、途中の景色にも作中の面影が残ります。坂を下りきった先には「いろは坂桜公園」があり、高台から街を一望できるベンチも設置され、休憩しながら映画を思い返すのにぴったりです。

さらに進むと「金比羅宮」へ。杉村が雫に告白するシーンの舞台とされ、石段や境内の佇まいは映画そのままの雰囲気。そこから足を延ばせば「天守台」に着きます。“天守の丘”のモデルとされ、雫が駆け下りる姿を想起させる展望スポットです。

次に訪れたいのは「桜ヶ丘ロータリー」。住宅街にある円形交差点で、地球屋の舞台となった場所。現在も街のシンボル的存在で、印象的な風景が残されています。

その後は「いろは坂の高台」へ。聖司が雫にプロポーズするクライマックスの舞台として知られ、ファンの間では“耳丘”とも呼ばれています。現在は私有地のため立ち入りはできませんが、フェンス越しや周辺の公道から雰囲気を楽しむことができます。特に夕暮れ時は、多摩の街並みと重なる幻想的な景色がおすすめです。

巡礼の締めくくりは「愛宕団地」。雫が暮らしていた団地のモデルとされ、昭和の面影を残す団地群が広がります。聖蹟桜ヶ丘駅から京王バスに乗り「愛宕団地」バス停で下車すれば便利です。訪問時は外観の見学に留め、住民の生活を妨げないよう配慮しましょう。

こうして駅から始まり、坂や神社、展望台を経て団地へと至るコースは、『耳をすませば』の舞台をじっくりと体感できる巡礼の旅になるはずです。

『耳をすませば』聖地巡礼で立ち寄りたいおすすめカフェ

『耳をすませば』の舞台そのものではありませんが、作品の世界観を楽しめるカフェがあります。物語をイメージしたスイーツや、映画をテーマにしたカフェご飯を味わえる特別な空間で、聖地巡礼とあわせて立ち寄れば、より一層作品の余韻に浸れるでしょう。今回は、そんなおすすめのカフェを2つご紹介します。

ノア洋菓子店

桜ヶ丘ロータリーに面した、どこか懐かしさを感じさせるケーキ屋さんが「ノア洋菓子店」です。店内には猫男爵バロンやルイーゼのフィギュアなどが飾られ、『耳をすませば』ファンの心をくすぐる空間に。ファンが自由に書き込み・閲覧できる「耳すま思い出ノート」も置かれており、聖地巡礼の定番スポットとして親しまれています。ショーケースには物語にちなんだクッキーやサブレ、ケーキが並び、巡礼の合間に立ち寄れば映画の余韻とともに甘いひとときを楽しめます。

住所:東京都多摩市桜ヶ丘2丁目2-9
アクセス:京王線「聖蹟桜ヶ丘駅」から徒歩20分
営業時間:10:00〜19:00(定休日:日曜・祝日)

Dining 和桜

桜ヶ丘ロータリー近くにある「Dining 和桜」は、手作り感のある和食やヘルシー志向のドーナツを楽しめる、落ち着いた雰囲気のカフェダイニングです。名物は、雫が涙をこらえながら口にした場面を再現した「耳すま鍋焼きうどん」。ランチ限定・予約制のため、訪れる際は事前確認が安心です。店内にはオーナー夫妻のジブリ愛があふれ、『耳をすませば』関連のグッズやファンノートも設置。作品の余韻に浸りながら過ごせる、聖地巡礼にぴったりの一軒です。

住所: 東京都多摩市桜ヶ丘2丁目2-6
アクセス: 京王線「聖蹟桜ヶ丘駅」から徒歩20分(桜ヶ丘ロータリー近く)
営業時間:12:00〜(※ランチは予約制) / 17:00〜22:00(ディナー、月曜定休)

まとめ

『耳をすませば』の舞台となった聖蹟桜ヶ丘には、今も映画の面影を感じられる場所が数多く残されています。雫と聖司が歩いた坂道や、物語を彩った風景に実際に触れる体験は、作品をより身近に感じさせてくれるはずです。巡礼の際は、地域に暮らす方々や観光客への配慮を忘れず、静かに景色を味わうのが基本。映画の世界と日常が交差する街で、あなただけの『耳をすませば』の思い出を見つけてみてください。