アニメ『遊☆戯☆王』公式Xは「一切関与せず」と異例の声明
米国政府機関であるホワイトハウスの公式Xが投稿した動画にアニメ『遊☆戯☆王』シリーズの映像が使用されていたことを受け、アニメ公式Xは3月11日、同作の関係者は投稿に関与しておらず、使用許諾も行っていないとする声明を発表した。
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問題となっているのは、ホワイトハウス公式Xが3月6日に投稿した約40秒の動画。映画やゲーム、アニメなどの映像を編集してつなぎ合わせたモンタージュ形式で、現実の爆撃映像などと組み合わせた内容となっている。投稿には「JUSTICE THE AMERICAN WAY.(アメリカ流の正義)」というメッセージも添えられていた。
動画には映画『グラディエーター』『トップガン』『ジョン・ウィック』などの映像が使用されており、終盤にはアニメ『遊☆戯☆王』の主人公・武藤遊戯のシーンとみられる映像も含まれていた。
これを受け、アニメ『遊☆戯☆王』の公式Xは声明を発表。「米国ホワイトハウスの公式Xアカウントにおいて、アニメ『遊☆戯☆王』シリーズの映像が、権利者の許諾なく使用されている投稿が確認されました」と説明。そのうえで、「原作およびアニメ関係者は一切関与しておらず、当該知的財産の使用を許諾した事実もございません」として、作品側が関与していないことを明確にした。
当該動画は公開直後からSNS上で拡散され、ポップカルチャー作品の映像を無断で利用している可能性や、軍事行動をゲームのように演出している表現をめぐり批判的な声も上がっている。
『ぽこ あ ポケモン』ロゴも標的に、無断パロディにポケモン社も抗議
こうしたポップカルチャー作品を政治発信に取り入れる投稿は、米政府やドナルド・トランプ大統領のSNSで近年たびたび見られている。
2026年3月には、ホワイトハウス公式Xがゲーム『ポケットモンスター』シリーズの新作『ぽこ あ ポケモン』のタイトルロゴを模した画像を投稿。「Make America Great Again(アメリカを再び偉大に)」という政治スローガンを作品ロゴ風のデザインで表現したものだった。
これに対し、海外法人のPokémon Company Internationalはメディア取材に対し、投稿の制作や配布には関与しておらず、知的財産の使用を許可していないと説明。自社の使命は「世界をつなぐこと」であり、特定の政治的見解やアジェンダとは無関係であるとの立場を示した。
また2025年9月には、米国土安全保障省(DHS)がアニメ『ポケットモンスター』の映像や主題歌を用いた動画をXに投稿。不法移民の摘発を「ポケモンを捕まえる」ことになぞらえた内容で、アニメのスローガン「Gotta catch ’em all(全部ゲットだぜ)」を想起させる表現も使用されていた。株式会社ポケモンは当時、「知的財産の使用を許諾した事実はない」と回答している。
ゲームや音楽も……、問われる著作権と倫理
米政府のSNSでは、ゲーム文化のミーム表現を取り入れた投稿も目立つ。ホワイトハウスや政府機関のアカウントは、『Halo』の主人公マスターチーフの装備をまとったトランプ大統領の画像など、ゲームを思わせるビジュアルを用いた投稿を行い、移民政策などの広報に活用してきた。
こうした投稿は、オンライン文化やゲームコミュニティに親和性の高い若年層への訴求を狙ったものと指摘される一方、作品のイメージや知的財産の扱いをめぐって議論を呼ぶことも少なくない。
実際、2025年には歌手ケニー・ロギンスの楽曲「Danger Zone」を使用したAI生成動画がトランプ氏のSNSに投稿され、ロギンス本人が「許可していない」として削除を求める事態となった。過去にも複数のアーティストが、政治活動への楽曲利用に抗議している。
ポップカルチャーの映像やミームを政治メッセージに利用する手法は拡散力が高い一方で、権利関係や作品イメージとの関係をめぐる問題も浮き彫りにしている。今回の『遊☆戯☆王』をめぐる騒動も、こうした議論の延長線上にある出来事と言えそうだ。
