『エヴァンゲリオン』シリーズの劇場版6作品を期間限定でリバイバル上映する「月1エヴァ EVANGELION 30th MOVIE Fest. 2025-2026」。10月24日より第2弾となる『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』が全国で上映中だ。
その最中、シリーズ総監督・庵野秀明氏が代表を務める株式会社カラーの公式X(旧Twitter)アカウント「(株)カラー 2号機」が27日に投稿した『Air/まごころを、君に』のセル画画像が、思わぬ形で話題を呼んでいる。投稿された画像の一部に、アニメ『クレヨンしんちゃん』の原画とみられる線画が混ざっていたのだ。「なぜエヴァのセルに“しんちゃん”が?」とSNS上で注目が集まった。
ファンが“混入”を発見、放送回まで特定
話題となったのは、エヴァンゲリオン二号機と戦略自衛隊の戦闘シーンを描いたセル画。その下部にツギハギされた「下タップ」部分に、野原しんのすけと思しき線画が確認された。
SNS上で複数の“クレしん”ファンが検証を行った結果、これは1997年放送の「お風呂の係は父ちゃんだゾ」(作画監督:樋口善法)に登場するカットである可能性が高いと特定。樋口氏は当時『クレヨンしんちゃん』の作画監督を務めながら、Production I.Gにも在籍しており、同スタジオは『エヴァンゲリオン劇場版』の制作にも関わっていた。
両作品が同時期に同じ制作ライン上で進行していたことが確認されており、現場で不要になったセル素材を下地や補強用に再利用した可能性が高いとみられている。
エヴァのセルにクレしんのトレス線画が紛れ込んでた件、やさいさんとアキレルギーくんが97年に放送された該当回をツリーで特定してくれてるので引リツしときます👏
— 鳴瀬@昼メシ感想スペース10/20 (@narusemanami) October 28, 2025
他に2作品の公開時期、放送時期から時系列に齟齬が無いことを割り出してくださっていた方もいました👉 https://t.co/k5VqxE0GFM pic.twitter.com/MMJLiehXN9
アナログ制作時代の“もったいない精神”
1990年代はまだ手描きセルによるアナログ制作が主流で、撮影工程では廃材セルの再利用が一般的だった。描き損じを切り貼りしたり、他作品のトレス線を流用したりと、限られた資材の中で工夫を重ねる“もったいない精神”が息づいていた。今回の“混入”も、そうした制作現場のリアルを物語る一枚といえる。
SNSでは「アナログ時代ならではの温かみを感じる」「制作の裏側が垣間見えて胸が熱くなる」といった声も多く、偶然の発見がアニメ制作の歴史に光を当てた。エヴァ30周年を祝う節目に生まれたこの話題は、作品の裏側にある職人たちの技術と情熱を改めて思い出させる出来事となった。
これらのセル画も掲載されるエヴァ30周年記念展『ALL OF EVANGELION』は、11月14日より東京シティビューにて開幕予定。貴重な原画や資料とともに、“エヴァ”の軌跡を辿ることができそうだ。
30周年記念展「ALL OF EVANGELION」公式サイト:https://ao-eva.exhibit.jp/
